なぜCDでALBUMをリリースしたのか?

何年か先のことを、想像して。

数年後、
部屋のCD棚を整理している時、
ふと目に留まって、
「そういえば、こんなのあったな」と手に取られる。

今の気分で探した音楽じゃなくて、
偶然、再会する音楽。

その時に、再生してもらえたら、
きっと歌詞の入り方も、聴き方も、
受け取り方も、今とは全然違うと思う。

同じ曲なのに、
その人の生きた時間だけ、確実に進んでいるから。

サブスクは便利だし、
その瞬間の気分に合う音楽には、すぐ辿り着ける。
でも「何年も寝かせたあとに、偶然聴き返す体験」は、CDじゃないと起きにくいよなと。

だから、CDを作ろうと。

このアルバムは、
今の自分の気持ちを切り取ったものだけど、
本当は「未来で聴かれること」も含めて、完成だと思っています。

時代に逆らいたかったわけでも、
懐古主義でも全然ない。

忙しい日々の途中で、
若い頃とは違う立場になって、
いろんなものを背負ったあとで。

そのタイミングで聴いた時、
「あの時は気づかなかった言葉」が、
ふいに胸に残るかもしれない。

そういう体験ごと、
このCDに封じ込めたかった。

少し不便で、
少し場所を取って、
簡単には捨てられない。

だからこそ、時間を超えて残る。

これは、
ただ音楽をまとめたディスクじゃなくて、
誰かの人生の途中で、もう一度出会われることを祈って作ったCD。

カッコ良く言うとそんな感じ。

当時の自分と、今の自分のあいだで、
この音楽がどんなふうに鳴るのか、
少しだけ耳を澄ましてみてほしい。

その違和感も、発見も、
きっとあなた自身の時間が作ったものだから。

mica